◆自由への武器として




Spirituals /黒人霊歌は、教会の外側ではアフリカ系アメリカ人達のもっとも危険な希望と欲求を表現する秘密の暗号としても機能していました。彼らはお互いに、何かの集まりや礼拝のタイミング、逃亡の機会などを奴隷主達にわからないように伝えるために、日々のコミュニケーションのなかでSpiritualsを使っていたといわれます。このような、Spiritualsに込められたダブル・ミーニングを理解することなしには、アフリカ系アメリカ人達にとって奴隷制時代を生き抜くための方法としてSpirituals /黒人霊歌がいかに重要な存在だったかを完全に把握することはできません。

暗号として使われていたSpiritualsの代表的なものとして、*1"Swing Low, Sweet Chariot"や*2"Go Down, Moses"、*3"Steal Away"などが挙げられます。見えない教会であったhush harborは奴隷制廃止や*4奴隷叛乱、*5Underground Railroad/地下鉄道のネットワークに関するニュースなどの秘密の情報経路でもありました。



*1/"Swing Low, Sweet Chariot"では、天国まで連れていってくれる馬車というイメージとアフリカまで連れていってくれる馬車(北部州への脱出という意味も含まれたでしょう)のダブル・ミーニングが存在していたと伝えられます。

*2/信仰のうたとしての"Go Down, Moses"までJump

Turner*3/"Steal Away"は、奴隷達がhush harborでMeetingが行われることをお互いに知らせるために使った曲として有名です。

リーダーがこの曲の最初のフレーズをハミングすると、それを聴いた者が次のフレーズをハミングして答え、すべての者がその隠されたメッセージに気付くまで、静かに奴隷主に気付かれないように日中の間続けられたといいます。

また夜中にhush harborに集まり礼拝をした時には、彼らの信仰するイエス・キリストへsteal awayする(自分のすべてをゆだねてイエス・キリストとともにいる)という意味で歌われていました。1831年にVirginia州で奴隷主に対し暴動を蜂起したNat Turner(左の絵は、叛乱後追い詰められた彼を描いたものです。)は、共に叛乱に参加する者を募るのに、この歌を使ったと伝えられています。

*4/主なものとして、1800年Virginia州RichmondでのGabriel Prosserによって蜂起された叛乱。1822年South Carolina州CharlestonでのDenmark Veseyによる蜂起。1831年Virginia州で蜂起したNat Turner。1859年のJohn Brownの叛乱などが挙げられます。特にNat Turnerの行動は後の奴隷制廃止に大きな影響を及ぼしたとする意見もあります。

*5/信仰のうたとしての*1Underground Railroad/地下鉄道までJump


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